2012年7月14日土曜日

集団的自衛権の行使を可能に 国家安全保障基本法案の概要を了承

国防部会と安全保障調査会がまとめた、集団的自衛権の行使を可能にする「国家安全保障基本法案」の概要が6日、総務会で了承されました。
次期総選挙で、同法案で示された安全保障の基本方針を掲げて国民に是非を問い、政権奪還後、同法案の成立を目指します。

■6年越し議論  総選挙で国民の是非を問う

同法案は、各行政機関が連携して安全保障上必要な配備や、自衛隊行使に伴う文民統制を確保する規定などを定め、国の安全保障の基本方針を示すものです。

昭和32年に閣議決定した「国防の基本方針」や、国の方針を示す武器輸出三原則、非核三原則がありますが、いずれも法律で定められていません。

そのため、法律で普遍的な国の防衛に関する基本方針を求める声が強く出され、平成18年から党内で議論を重ねてきました。

最大の目玉は集団的自衛権の行使を一部可能にすることです。

国連憲章では、国家固有の権利として個別的自衛権と集団的自衛権の保持を定めていますが、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は保持しているが行使できない」「自衛権の行使は、必要最小限度の実力行使にとどめる」のがこれまでの政府見解でした。

これに対し同法案では「国連憲章に定められた自衛権の行使については、必要最小限にすること」と規定。

「必要最小限度の範囲内」とすることは残しながら、従来の個別的自衛権に加え、集団的自衛権が含まれるようにしました。

この背景には、日本が日米同盟を強化して対応すべき脅威は多様化しており、「必要最小限度」の質的・量的範囲は情勢の変化により変わっていかなければならないとの判断があります。

石破茂安全保障調査会長は6日の記者会見で「憲法改正を先に行うべきではないか」との質問に対し、「現行憲法を改正して集団的自衛権の行使を可能とすることが望ましいが、国際情勢を考えれば憲法改正まで待つことはできない」との認識を示しました。

 

■「国家安全保障基本法案」骨子のポイント■

国連憲章に定められた集団的自衛権の行使を一部可能にする・教育、科学技術、
 建設、運輸、通信などの分野で安全保障上必要な配慮をする・安全を確保する
 上で秘密保護のため法律・制度上必要な措置を講じる・安全保障に関する施策
 を総合的かつ計画的に推進するため、安全保障基本計画を定めねばならない

自衛隊に対する文民統制を確保するため、自衛隊の行動に国会が関与する法律
 を別途定める

世界全体の核兵器を含む軍縮に努力する

武器及びその技術の輸出入は、国際紛争を助長することがないよう配慮する