2012年6月29日金曜日

『社会保障と税一体改革』について

6月15日、自民党・公明党・民主党の3党は「社会保障と税一体改革関連法案」について合意し、わが党が求めた修正を行った上で社会保障と税のパッケージとして法案を提出しました。会期末21日までに衆議院で法案を採決・可決する約束でしたが、民主党内の混乱によって日程はずれ込み、26日、賛成多数で衆議院可決いたしました。
少子高齢化が大きく進展するわが国において持続可能な社会保障制度を確立するとともに、世界各国が経済財政危機に直面する中で日本が財政再建と経済成長の両立による再生へ向けて大きな一歩を踏み出すこととなりました。
採決では与党民主党から57名の造反者が出ました。野田総理が最重要法案と位置付ける一体改革でさえ、党内を一本にまとめることができず、もはや民主党政権の政権運営能力の限界は明らかです。



【1】与野党協議に臨むにあたっての基本方針


社会保障と税の与野党協議をスタートするにあたって、わが党は、3つの基本方針もって臨みました。

(1)6月15日までに結論を得て、会期末6月21日までに採決をすること。

(2)社会保障の協議を先行して行い、その合意を得た上で税の合意を得ること。
   あくまで全体のパッケージとしての合意であって、税だけの合意や一部の
   パーツのみで合意はない。

(3)社会保障での合意の前提は、自民党が提案した「社会保障制度改革基本法案
  (骨子)」を受け入れること。


6月8日の与野党協議開始以来、わが党はこの基本方針を堅持しつつ精力的な協議を続けてきました。


【2】社会保障制度は自民党の考え方が全面的に反映


民主党が修正合意の上、受け入れることとなった自民党の「社会保障制度改革推進法案」では、まず、第一の「目的規定」で、この法案は我々の政権時代に策定した「平成21年税制改正附則104条の規定の趣旨を踏まえて持続可能な社会保障制度の確立を図るため、社会保障制度改革について、その基本的な考え方その他の基本となる事項を定める」としており、社会保障制度改革の基本方針は、民主党のマニフェストや本年2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」ではなく、自民党の考え方がベースになることが明記されています。

●また、第二項の「基本的な考え方」では

自助・共助・公助の適切なバランスに留意し、自立を家族の助け合いなど
   を通じて支援していく

税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、
   持続可能な制度を実現する

- 国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う
   観点などから、社会保障給付に要する公費負担の費用は消費税収を主要な
   財源とする

など、自民党の社会保障政策の基本理念が全面的に反映されたものになっています。

公的年金制度、医療保険制度、介護保険制度については、「社会保険制度
  を基本」とすることを明確にするとともに、各分野で国民の負担の適正化や
  サービスの範囲の適正化など必要な改革の実施を規定しています。
  また、少子化対策では、単に子育てに対する支援にとどまらず、就労、出産、
  育児等の各段階に応じた支援を幅広く行う。待機児童に関する問題を解消
  するための即効性のある施策を推進するといったわが党の考え方がそのまま
  盛り込まれています。
  さらに、生活保護制度の見直しでは不正受給への厳格な対処、生活扶助、
  医療扶助等の給付水準の適正化、就労の促進など、自助を基本としたわが党
  の生活保護制度の見直しの方針を反映したものとなっています。


【3】民主党マニフェストは総崩れ


●今回の三党協議に基づく合意文書及び「社会保障制度改革推進法案」により、
  公的年金制度及び高齢者医療制度にかかる改革については、その内容について、
  三党協議、そして社会保障改革国民会議の議論を経て、必要な法制上の措置を
  講じるとの仕組みが組み込まれました。
  三党協議や国民会議で決定する項目には当然に施策の実施時期も含まれること
  から、民主党のマニフェストに基づく新年金制度の創設や後期高齢者医療
  制度の廃止のための法案をこの通常国会や来年の国会に提出するという方針
  は白紙に戻り、実質上マニフェストの撤回となりました。

●また、「社会保障制度改革推進法案」では、公的年金制度については、「財政
  の現況及び見通し等を踏まえ」、高齢者医療制度については「状況等を踏ま
  え」とされており、自民党の主張通り現行制度をベースに議論が始まること
  になりました。


【4】社会保障・税一体改革関連7法案の主な合意内容


社会保障分野は、民主党との間に大きな隔たりがありましたが、わが党の考え方がほぼ全面的に受け入れられ、法案の見直し、修正が図られました。

<年金関係>

●低所得高齢者等への年金額加算及び高所得者の年金額調整

(1)低所得・低年金者への対応は、年金制度ではなく福祉制度において実施すべ
      きとの自民党の主張に沿って、年金額加算ではなく福祉的な給付措置とし
     て実施することに修正しました。

(2)高所得者の年金額調整については、保険料納付に応じて年金が支給される
      という保険原理を堅持すべきとの自民党の主張に沿って、実施しないこと
     に修正しました。(検討事項に)

●短時間労働者の社会保険適用拡大

自公政権時に提出した法案とほぼ同じ方向ですが、以下の3点についての自民党の提案に沿って修正しました。

(1)適用拡大対象者の標準報酬月額の下限を、7.8万円から8.8万円へ引上
      げることにより対象者の極端な拡大を抑制

(2)消費税引上げ(平成27年10月)の影響を踏まえ、実施時期(平成28年
      4月)の後ろ倒し(平成28年10月施行に)

(3)「施行後3年までに適用範囲をさらに拡大する」との見直し規定を「施行
       後3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じる」に修正
       (注)被用者年金一元化法案は、自公政権時に提出した法案と全く同内容
            (実施時期を除き)。


<子育て関係>

総合こども園は創設せず、自公で進めてきた現行の認定こども園を拡充する。子ども・子育て支援関連の財源については内閣府に一元化する一方、制度の大枠は、給付の仕組みも含めて、幼稚園、保育所、認定こども園の現行制度を維持することに修正。また、自民党の主張に沿って、即効性のある待機児童解消策等を実施することに修正しました。
(注)認定こども園を拡充するために、「認定こども園法改正案」が議員立法で提出され、政府提出の「総合こども園法案」は廃案に。

<税関係>

●消費税の税率及び引上げの時期
わが党が参院選挙等で主張してきた通り、消費税率を5%引上げ10%とすることとし、その時期等については、2014年4月に5%から8%、2015年10月に8%から10%とすることとしました。

●経済への配慮
消費税の引上げに際しては、経済状況を勘案することとし、その判断にあたってはわが党の主張により、法案の景気条項に「成長戦略や事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するなど、わが国経済の成長に向けた施策を検討する」ことを盛り込みました。

●低所得者への配慮
「簡素な給付」について、政府案には開始時期が明記されていませんでしたが、我々の主張により、8%引上げ段階から実施することを明記しました。
一方、消費税引上げ時に本格的な低所得者対策を実施することとしていますが、わが党が主張している「複数税率」と政府が主張してきた「給付付き税額控除」について並列で検討されることとなりました。

●中小企業事業者への配慮
中小企業事業者にとって適正な消費税の転嫁を行えることが重要であり、政府案にはなかった「円滑かつ適正な転嫁を可能とする必要な立法措置を行う」ことを明記しました。

●消費税以外の税目(所得税及び相続税)の取扱い
政府案にあった所得税の高額所得者への課税強化及び相続税の課税強化については、今後検討し、来年度の税制改正において必要な措置を行うこととなりました。


今後は、参議院において法案審議が進んでいきますが、民主党が先の衆議院選挙で約束したマニフェストの破たんはもはや明らかです。また、あらゆる問題で党内が分裂し、今回の採決においても党内から57名の造反者がでたように、民主党はもはや政党の体を成していません。考え方が異なる政治家は、別の政党に分かれて行動するのが筋であると考えます。
政権交代から2年9ヵ月、素人集団による「何も決められない政治」が続いています。わが党としては、社会保障と税の一体改革法案に一定の結論をつけた上で、早急な解散・総選挙により、「決められる政治、進められる政権」の実現に向け、国民の信を問うことを求めていきます。

2012年6月27日水曜日

谷垣禎一総裁 記者会見【H24.6.26(火)】

社会保障と税の一体改革の関連法案、社会保障制度改革推進法の制定をはじめとしまして、自民党の主張を全面的に反映させる形で修正合意ができまして、衆議院を通過したこと。これは今、「決められる政治」を求められているわけですが、その実現に向けて大きな前進であったと思います。私どもも野党として出来る限りの協力をして、ここに漕ぎつけたということであります。そして今回の三党合意によりまして、最低保障年金をはじめとする民主党のマニフェストは事実上全部反故になってしまった。事実上全部撤回となってしまった、ということであります。
政策面ではそういうことでありますが、他方今回、民主党の党内手続きの混乱によりまして、採決日程も大幅にずれ込んだ。それから、総理が最重要法案と位置付けるこの社会保障と税の一体改革について、民主党を一本にまとめることができなかった。これは極めて大きなことでございます。民主党執行部は、造反者に厳しい処分で臨むべきであります。我々は三党合意を致しました。したがって、参議院でも基本的には協力するということでありますが、その前提はきちっと民主党として体制を立て直す、処分をきちっとするということにございます。それで、このように政策面、それから政権基盤の双方で民主党の政権担当能力の喪失が明らかになって来たということはですね、国民に信を問う必要というものが益々強まっているということを意味しております。今後わが党としては、参院において法案審議を進めた上で、早急に解散総選挙によって国民の信を問うことを求めていきたい、このように考えております。

【質疑応答】
Q:自民党の解散戦略について、参院で法案審議を進めた上で解散を求めるとのことだが、法案成立後の解散ということか。
A:これはですね、一体どのように体制を整えてくるか。要するに野党に協力を求めて来ながら、与党としてはですね、自分の所で色んな人が一緒になっているということで、果たして参議院の審議が終わりまでスムーズに終わるのかどうか。今非常に暗雲に包まれている状況です。その辺りをどうしていくかということがないとですね、なかなか協力もしづらい。ですから今のご質問もですね、「まだ視野が及んでいない」とお答えするしかないですね。

Q:総裁自身は消費増税に熱意をお持ちかと思うが、そういう立場の総裁が参議院の審議を通じて民主党を追い込んでいくというのは、総裁ご自身も法案成立に意欲を持っている以上、構造的に限界があるのではないか。
A:限界があるというのはどういう意味かよく分かりませんが、私どもはこの三党合意という限りにおいては協力するということですけれども、与党になったわけでもありません。連立を結んだわけでも決してありません。我々は当然、与党の問題点を突いていく。これは当然のことであると思います。それを放棄したら、我々は何のために国会に議席を持っているのかもあやふやになりますね。ですから政権担当能力を与党が喪失しているなら、それを指摘して解散に追い込んでいくというのは、私は当然のことであると考えております。

Q:民主党内の処分について、民主党内では造反者に対する処分を軽いもので済ませて良いのではないかという声も出ているようですけれども、この点についてどのようにお考えか。参議院での審議で、自民党として協力しない、あるいは法案に賛成しないという選択肢もあるのか。
A:それはこれからの民主党の出方によりますね。これだけ重要なことについてこれだけ沢山の方が造反をするというようなことでですね、果たして私どもはこの党に協力できるのかどうかという問題があります。ですから私どもはこの参議院での審議に臨むにあたって、与党としてきちっとけじめをつけてくることが必要だと思います。これだけ重要なことでですね、行動が共にできないということであれば、政治家として党を分けて行動するということも、当然のことではないかと私は思っております。

Q:民主党の対応次第では、参議院の審議で協力できない、あるいは法案に賛成しかねるということもあるか。
A:そうです。三党合意に沿って、協力の用意はございます。しかし、けじめのつけ方なり、それからもう一つその関係で申し上げておきたいのは、我々の意向にも反して、選挙制度改革法案を強硬に委員会に下ろすということがございました。こういうこと一つを見てもですね、我々はやはり批判すべきものは当然批判していなければならないし、反対するものは当然反対しなければならない。繰り返し申し上げますが、三党合意を結んで、自民党が与党に入ったかのような理解は全くふざけた理解だと私は思っております。

Q:選挙制度改革法案について、与党が強引に吊るしを下ろしてきたわけだが、自民党の対応として、対案として0増5減の法案を提出する用意はあるか。また選挙制度改革法案の審議について、現時点で応じる考えはあるか。
A:それはやりようによっては当然のことながら、この税と社会保障の一体改革の審議にも関係してくるということは申し上げておかなければならないと思います。無関係ではありません。

Q:衆参で違うが、衆院の選挙制度の審議が参院の一体改革の審議に…。
A:それは党と党との関係で、我々に協力を求めておきながらそういうことをやるなら、我々だって舐められちゃいられないということですよ。当たり前じゃないですか。

Q:0増5減の対案について、現時点では。
A:それはポケットの中に入っていることは入っております。しかし向こうの出方を見ながら我々も臨機応変に対応しておきたいと考えております。

Q:先日、部分的な連立については言及したが、大連立について、現時点ではどのように考えているか。
A:現時点では全く否定的でございます。

Q:今回のような三党合意の枠組みでの政策合意を図ることは、消費税法案以外でもありえるのか。
A:なかなか難しいでしょうね。今のところこの税と社会保障の一体改革についてはこういう合意ができたわけですけれども、全てに亘ってこういうことであるということではありません。

Q:これだけ重要な法案でこれだけの数が造反したとのことだが、57名の造反というのは、執行部が処分を緩めた結果だと見ているか。
A:この他党の中がどうなっているのかというのは、あまり踏み込んだ発言をすべきではないと思っております。私の要求しているのはただ一つ、我々に協力を求めてくるなら、自分の足元を固めて下さい、党を固めて下さい、党がまとまらないのであるならば、はっきりとどなたが協力の相手であり、どなたが協力の相手でないのかをはっきりと示していただきたい。それなくして、協力してくれなどということはおかしなことではないかということを申し上げているのであって、向こうの党での対応の良し悪しというようなことは、私は論ずるつもりはありません。

Q:厳しい処分を求めるとのことだが、分けて行動するのは当然だとの発言もあった。処分の内容について、除名、あるいは離党勧告など、民主党から出ていくように処分をすべきという考えか。
A:これは先程申し上げたことだが、どういう処分をするかということは我々が注文をつけることではないと思っております。ただ我々がいかなる形であれば協力が出来るかということは、自動的に協力をするという話ではないと、そのけじめを、誰が我々と協力する相手で、誰と協力できないのか明確にしない限り、協力ということはできないということを申し上げているのであります。

Q:同じ党の中にいる限りは、誰が協力できる相手で、誰が協力できない相手かということは、はっきりしないという認識か。
A:常識的に言えば、そういうことを申し上げているわけです。

Q:今の民主党の執行部には、処分する能力がないとお考えか。
A:あまり他の党に失礼なことを申し上げるのは私としては気が重い。しかし、今までさんざん我々が苦労をいたしましたのは、私だけではない色々な方が指摘しているわけですが、要するに衆議院で480の内300近い議席を持ちながら、意思決定の仕組みそのものが十分にできていなかったとかですね、あらゆる意味で未成熟であったり、党内をコントロールできていないという状況があちこちにあるわけですね。寄り集めの状態で、民主党がいかなる党であるかというアイデンティティも確立できていなかったことが、今日に及んでいるのだろうと思います。ですから、率直に申し上げれば、どこを直せばと言ったって困るんですよね。色々なところに問題がありすぎだということなんですが、それ以上申し上げると失礼だから、言葉は控えます。

Q:処分について、参議院での法案の審議を始める前に処分を行うべきとお考えか。そういうことが行われない限り、参議院での審議を始めるということ自体に協力しかねるということか。
A:誰と合意を結んで誰が党首なのか、誰が味方で誰が敵なのか分からない状態では、協力しろと言っても難しいですよね。そこはまず、けじめをつけていただくべきだと思います。

Q:民主党内の造反者が57名と言われている。この方々が内閣不信任案に賛同すれば通ると思うが、参院の審議が終わる前に不信任案を提出する考えはあるか。もしくは小沢さんのグループが離党して不信任案を提出した場合、自民党として賛成する考えはあるか。
A:これは先程申し上げたことと関連しますが、私どもは三党合意を結んだという限りにおいて協力をするという用意がある。このことは、我々も責任を負っているわけですね。ただ先程から何回も申し上げておりますように、誰が協力相手か分からないような状況では、物事がスタートしないだろうということはございます。しかし、要するに協力をしたのは三党合意に関してであって、他のことに関しては協力をする義務を負っておりませんし、与党の問題点を徹底的に突いていく必要があるわけですね。政治で解決を求められているのは、決して税と社会保障だけではありません。安全保障の問題であれ、為替の問題であれ、色々な対応を求められていることがあるわけであります。そこで政権担当能力がないということになったら、三党合意をしたからといって、全て協力するというわけにはいきませんね。ですからそこは、我々は臨機応変に、適宜適切に対応するとしか今の段階では申し上げるしかありません。もう一つご質問の中で、もし今、造反をした方達がですね、離党して不信案を出した時はどうするかというお問いかけもあったかと思います。これはまだ離党もされていなければ、今の衆議院の仕組みではですね、独自に不信任案をお出しになることはできませんから、今ただちの問題ではないのだろうと思います。しかし、そういったことについても、全く一般論として申し上げていることですが、我々は決して与党ではない。野党として与党の問題点を追及していく立場にあるのだということを考えれば、「適宜適切に対応する」としかお答えのしようがありません。

Q:自民党の中に欠席をされた方がいるが、処分をする考えはあるか。
A:幹事長の下で、どのような処分をするかを検討していただくことになると思います。

Q:その方からは事前に欠席する旨の連絡が執行部の側にあったのか。
A:文書が届けられたと聞いております。

Q:どのような内容だったのか。
A:賛成できないという内容だったと聞いております。

Q:民主党の小沢元代表が先程、自分を支持する議員との会合で、今の段階で新党はないということをおっしゃったようですけれども、これについてどう思うか。
A:よく理解できないですね。これだけ大事な、基本的なことで違うとおっしゃるならば、今のところ新党はないと、何をおっしゃっておられるのかよく分かりません。小沢さんだって、野田総理の選任に無関係ではないですよね。小沢さんは「野田佳彦」と首班指名でお書きになって臨まれたのではないかと思います。その内閣総理大臣が、政治生命を賭けて「これだけはやりたい」ということに反対されるのであれば、それはそれだけのお覚悟がなければならないのであって、今のところ考えないというのは、何か全くよく分からない対応だと思います。

Q:中川元幹事長が本日欠席されたわけだが、前回の郵政改革法案の処分と同程度、あるいはこの法案の重要性に鑑みて、より厳しい処分をお考えか。
A:幹事長の下で処分を検討していただくということですから、そこで考えていただくということであります。

Q:そこは、総裁のリーダーシップを発揮されるおつもりはないということか。
A:私は石原幹事長、あなたの下で検討してくれと申し上げたわけで、これがリーダーシップでなくて何がリーダーシップですか。

Q:昨日、造反者を処分できなければ参議院で一緒に審議を進めていけるかは疑問とおっしゃった。民主党は参議院で審議する前に処分すべきということだと思うが、中川元幹事長については、参議院での審議前に処分の結論を出すべきとお考えか。
A:石原幹事長にお任せをしております。

Q:法案可決後に野田総理が挨拶回りに来ていたが、総裁からどのような話をして、総理の方からどのような話があったのか。また、可決後に会って、野田総理の表情、印象をどう受け止めたか。
A:私が総理に申し上げたことは、「総理ご苦労様でした。ただこれは、総理にとって大変厳しい結果だったと思います。参議院での審議の前に、きちっと体制を立て直すことを期待いたします」と、私が申し上げました。あとどういう印象かということについて、特に印象はございません。

Q:今日の役員会の中でも党首会談についての話があったようだが、衆院通過後に党首会談をやってはという声もあるようだが、現時点でどのようにお考えか。また総裁はかねてより、政策的なけじめと同時に政治的なけじめも必要だとおっしゃっていたが、今日衆院を通過したわけだが、政治的なけじめについてはどのような整理をしているのか。
A:党首会談について、自分から求める気持ちはありません。けじめについては、政策面も政権担当能力も喪失していることがあきらかになっているわけですから、可及的速やかに解散を求めるのが当然のことだと思います。

Q:党首会談について、野田総理から求めがあった場合、参院の審議に応じる条件などを話し合うために会談に応じる考えはあるか。
A:向こうから求めてくる前に、応じる気持ちがあるなどと言うつもりはありません。私の方から求める気持ちがないというのは、そういうことでございます。

2012年6月23日土曜日

3党合意のポイント

■社会保障基本法関係■
・「社会保障制度改革基本法案」の名称を「社会保障制度改革推進法案」に修正。

  今国会で成立させる。
・社会保障制度改革は、「自助・共助・公助のバランスに留意」など、自民党の

 考え方に沿って行うことを明記。
・年金、医療、介護は社会保障制度を基本とする。
・社会保障国民会議を設置し、1年以内に、この法律の基本方針に沿って必要な

 事項を審議する。
・同会議の審議は、今年2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」など

 の方針にかかわらず、幅広い観点に立って行う。

■その他の社会保障分野■
・政府が提案した「総合こども園」の創設は行わず、現行の「認定こども園法」

 を拡充
・低所得者等への年金加算の規定を削除。これに代って福祉的な給付措置を

 講ずる。

■税制分野■
・消費税8%の段階で簡素な給付措置を実施。その内容は真に配慮が必要な

 低所得者を対象にした措置が行われるよう具体化を検討。
・円滑、適正な消費税の転嫁を行うため、独占禁止法のほか、下請法の特例に

 関する立法措置を講ずる。
・景気条項として「成長戦略や事前防災・減災対策等に資する分野に資金を

 重点的に配分する」旨の規定を追加。

事実上のマニフェスト撤回・一体改革修正協議が決着

自民党と民主党、公明党の3党間で行われてきた社会保障と税の一体改革の修正協議が6月15日、まとまりました。民主党は自民党が示した「社会保障制度改革基本法案」を基本的に受け入れました。これは先の総選挙で同党が掲げたマニフェストの根幹部分が事実上撤回されたことを意味します。
このほか、景気対策のための条項を追加することなどでも合意しました。
  

自民党の社会保障の考え方  民主党が全面的に受け入れ


合意の最大のポイントは、民主党が自民党の「社会保障制度改革基本法案」への賛成を表明したことです。名称を「社会保障制度改革推進法案」に変更するほか、当初案の表現に一部修正を加えるものの、内容的には、わが党の考え方を全面的に受け入れました。

同法案は社会保障改革の基本的な考え方として「自助、共助、公助のバランスに留意する」「社会保険制度を基本とする」などを明記。

この結果、保険料を払わない人にも一律で年金を支給する最低保障年金制度は明確に否定されることになります。

また、民主党のマニフェスト政策が盛り込まれた「社会保障・税一体改革大綱」(今年2月閣議決定)についても、「(同大綱などの)方針にかかわらず、幅広い観点にたって行う」として、事実上の撤回が規定されています。

自民党政権時代、民主党がことごとく社会保障政策に反対したため、自民党が進めてきた高齢社会に対応するための改革が止まってしまいましたが、今回の合意により、ようやく地に足の着いた現実的な議論ができる素地ができたといえます。

同法案は民主党と共同で国会提出し、政府が提出している社会保障・税一体改革関連
法案と同時に成立する見通しです。

このほか、社会保障分野では現場に混乱を引き起こしかねない「総合こども園」制度の創設を断念させたほか、わが党が委員会審議で「バラマキ政策」と批判してきた低所得者等への年金加算規定を削除。これに代わって福祉的な給付措置を講ずることで合意しました。

税制分野では税率が8%の段階で低所得者対策として「簡素な給付措置」を行うことを決めたほか、中小企業が税率引き上げ分を円滑、適正に価格転嫁できるよう、独占禁止法などの立法措置を講ずることを明記します。

また、成長戦略や事前防災・減災対策など、景気対策に資金を重点的に配分する条項を新たに盛り込むことで一致しました。

自民党は消費税の引き上げについて、平成21年の総選挙から必要性を訴えてきました。それは基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げや、高齢社会の進行により年1兆円以上のペースで増大する社会保障費に対応するために避けて通れないと判断したからです。

しかし、政策的に協力するからといって民主党政権そのものを認めるわけではありません。特に今回の合意で同党が「国民との契約」と豪語したマニフェストを否定した意味は大きく、自らの議席の根拠をなくした議員が長くその座にいられるのか―。

谷垣禎一総裁が「早晩、解散・総選挙は避けられない」とする理由もここにあるのです。

2012年6月22日金曜日

日本の再起のための政策-3つの理念 3つのビジョン

3つの理念

【1】まず、自分が頑張る!(=自助自立・個人の責任感)
政治・行政が、まず自ら身を削る努力をするのはもちろん、国民の皆様の自助
自立を出発点とします。頑張る人々がしっかり支える社会であって初めて、
弱い立場の人たちを守れます。われわれは額に汗して働く人達が輝き、報われ
る国を創ります。

【2】社会で役割を果たす!(=助け合い・「絆」・社会への責任)
自助自立で足りない部分は、社会全体がお互いに助け合います。東日本大震災
発生後に世界を驚嘆させた日本人の総力の結集(=絆)が大切です。われわれ
は一人ひとりが社会で役割を果たす意思によって日本の再生を実現します。

【3】未来につなげる!(=次世代への責任・将来への投資)
次世代につけを回さないのはもちろん、親の世代から引き継いだ国土、経済、
財政、そして日本の歴史や文化、国際関係などを、昨日より今日、今日より
明日、より豊かなものにして、愛する子や孫たちに渡そうではありませんか。
われわれは将来への投資を重視し、再び世界に誇れる、貢献する日本を目指
します。


3つのビジョン

【1】国民の安全・安心が第一

今の政府のもとでは、領土から災害対策、経済・エネルギー危機、年金財政
に至るまで国民の安全・安心はおよそ確立されていません。
自民党は、国民の安全・安心のため「今やるべきこと」を明示し、法律・
予算・体制・制度などを周到に準備して、日本の安全と国民の安心を確立し
ます。

憲法改正による日本の再出発(自衛権を明記し、国防力の強化のために
 人員・装備・予算を拡充)
事前防災の考え方による国土の強靭化(国土強靭化基本法の策定)、情報
 セキュリティの抜本的強化など有事・大規模災害への備え
国際(IAEA)基準に則った組織の新設など原子力規制の仕組み、エネ
 ルギー政策での「安全第一主義」の徹底
自助を基本に共助、公助を組み合わせた持続可能な社会保障制度の確立
 (社会保障基本法の制定)


【2】バラマキから雇用・成長へ

今の政権は、バラマキマニフェストの破たんを覆い隠すことに汲々とする一方
で、雇用の拡大や経済成長には全く無策です。自民党は、デフレからの脱却を
最優先に資金配分をバラマキから雇用・成長に転換、将来の技術開発・人材育
成を進め、経済のパイの拡大(=経済成長)を実現します。

デフレからの脱却を最優先。「物価目標2%」に向けた日銀法改正と思いき
 った金融緩和
リーマンショック後の重要の落ち込みを補い、日本経済を再び成長軌道に乗
 せるための需要創出、成長戦略に重点を置いた財政運営
将来の技術開発や人材育成への資源の優先配分、大胆な税制優遇措置など成
 長分野へのインセンティブ付与
新しい成長モデルに向けた「貿易立国」プラス「投資立国」の双発型成長エ
 ンジンの創造と両者の相乗効果の最大限の発揮
雇用の拡大。子育てと仕事の両立など頑張る人を支援。働くことを求めない
 現金給付中心の生活保護を抜本的に見直し、就労の支援へ


【3】新たなフロンティアへの挑戦

わが国には、世界第6位のEEZ(排他的経済水域)を有する海洋、宇宙、
電子地理空間(G空間)やサイバーセキュリティを含むICT分野などまだま
だ未開のフロンティアが多く残されています。また、先進国でも最も進んでい
る少子高齢化の課題解決も新たなフロンティアへの挑戦です。自民党はこれら
の新たなフロンティアへの挑戦を全力で推進します。

海洋(大陸棚)開発などによる「資源小国」から「資源大国」へ
サイバーセキュリティ産業の創出などによるICT産業の活性化
再生可能エネルギーの拡大、エネルギー源の多様化と持続可能性への挑戦
新たなフロンティアとしての少子高齢化社会の問題解決(ICT、バイオ、
 ロボット技術などの活用による医療、介護分野システム・サービスの革新)

2012年6月16日土曜日

「社会保障制度改革基本法案」(仮称)の骨子を決定

【自助自立を基本に】

■財源の中心は消費税に

自民党は6月7日、社会保障と税の一体改革関連法案のうち社会保障分野の対案となる「社会保障制度改革基本法案」(仮称)の骨子を決定しました。
骨子は自らの生活を本人や家族などの助け合いによって支える自助自立を基本とすることや、制度を支える財源の中心は消費税になるといった基本理念を明記。
公的年金制度については、保険料の納付に応じて年金が支給される現行制度を基本にしつつ、必要な見直しを実施するとしました。
このうち、低年金・無年金対策としては、民主党が掲げる最低保障年金などではなく生活保護の見直しを踏まえた低所得者対策で対応する姿勢を示しています。
少子化対策に関しては、現行の幼稚園と保育所の制度を基本に、地方自治体の裁量権拡大や認定こども園の設置促進、処遇の改善による保育士の確保などで待機児童を解消することを盛り込みました。

■国民会議を創設

また、年金や医療のあり方を審議する「社会保障制度改革国民会議」を創設するとしました。この会議は総理が任命する20人以内の有識者で組織され、社会保障制度改革に必要な法制上の措置について、基本法の施行後1年以内に会議の審議結果を踏まえて実施するとしています。
生活保護についても、不正受給者への厳格な対処、給付水準の適正化、就労の促進などを早急に実施すべきとの考えが盛り込まれました。


【社会保障制度改革基本法案(仮称)骨子】


【一】目的

近年の急速な少子高齢化の進展等による社会保障給付に要する費用の増大及び生産年齢人口の減少に伴い、社会保険料に係る国民の負担が増大するとともに、国及び地方公共団体の財政状況が社会保障制度に係る負担の増大により悪化していること等に鑑み、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)附則第104条の規定の趣旨を踏まえて安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、社会保障制度改革についてその基本的な理念及び方針、国の責務その他の基本となる事項を定めるとともに、社会保障制度改革国民会議を設置すること等により、これを総合的かつ集中的に推進。

【二】基本理念

社会保障制度改革は、平成24年2月17日に閣議において決定された社会保障・税一体改革大綱で示された社会保障改革の基本的考え方等にかかわらず、次に掲げる事項を基本として実施。

1.社会保障の目的である国民の生活の安定等は、自らの生活を自ら又は家族
  相互の助け合いによって支える自助・自立を基本とし、これを相互扶助と
  連帯の精神に基づき助け合う共助によって補完し、その上で自助や共助で
  は対応できない困窮等の状況にある者に対しては公助によって生活を保障
  するという順序により図られるべきであり、社会保障制度改革に当たって
  は、税金や社会保障料を納付する者の立場に立って、負担を抑制しつつ必
  要な社会保障が行われる制度を構築。

2.家族相互の助け合いを通じた自助、自発的な意思に基づく共助等を支援す
  るための措置を講ずることにより、自助及び共助のための環境を整備。

3.社会保障は、社会保障制度を基本とし、社会保障制度に係る国及び地方公
  共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化等のためのものに
  限定。

4.社会保障制度に係る国及び地方公共団体の負担を支える財源は、社会保障
  は広く国民全体が恩恵を受けるものであること、社会保険料は収入の額に
  比例して徴収されるものが多いこと等に鑑み、消費に広く薄く負担を求め
  る消費税が中心。

5.社会保障における受益と負担の在り方について、両者の関係を明確化して
  国民の理解を得る中で、必要な見直しを実施。

【三】改革の実施及び目標時期

政府は、二の基本理念にのっとり、かつ、四から七までに定める基本方針に基づき、社会保障制度改革を行うものとし、このために必要な法制上の措置については、この法律の施行後1年以内に、八の社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえて実施。

【四】公的年金制度の見直し等

政府は、保険料を納付した者に保険料の納付に応じて年金が支給され、かつ、国民年金と被用者年金が分立する現行の公的年金制度を基本に、次に掲げる措置その他必要な見直しを実施。

1.被用者年金制度の一元化等の措置を講じ、併せて年金記録の管理の不備に
  起因した様々な問題への対処及び社会保障番号制度の早期導入を実施。

2.生活に困窮している高齢者であって公的年金の受給資格を有しないもの等
  については、公的年金制度ではなく、生活保護制度の見直しを踏まえて実
  施する低所得者対策により対応。

【五】医療保険制度の見直し等

政府は、高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる中で、健康保険法、国民健康保険法その他の法律に基づく医療保険制度(以下単に「医療保健制度」という。)に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに、次に掲げる措置その他必要な見直しを実施。

1.健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見等のための健康管理を積極的に
  促進するとともに、医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図る
  ことにより国民負担の増大を抑制しつつ必要な医療を確保。

2.医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に
  関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ると
  ともに、高齢者医療制度に関し、現行の制度を基本としつつ必要な見直し
  を実施。

3.医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊
  重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごす
  ことができる環境を整備。

【六】介護保険制度の見直し等

政府は、介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービス(以下「介護サービス」という。)の範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、介護保険の保険給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担割合の引上げ等の必要な措置を講ずることにより、保険料に係る国民の負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保。

【七】少子化対策

政府は、急速な少子高齢化の進展の下で、社会保障制度を持続させていくためには、社会保障制度の基盤を維持するための少子化対策を総合的かつ着実に実施していく必要があることに鑑み、単に子ども及び子どもの保護者に対する支援にとどまらず、就労、結婚、出産、育児等の各段階に応じた支援を幅広く行い、子育てに伴う喜びを実感できる社会を実現するため、次に掲げる措置その他の必要な措置を実施。

1.現行の幼稚園、保育所等の制度を基本としつつ、その区域内に待機児童
 (保育所における保育を行うことの申込みを行った保護者の当該申込みに係
  る児童であって保育所における保育が行われていないものをいう。以下同
  じ。)が多数存在する地方公共団体の長の裁量権を臨時的かつ特例的に拡
  大するとともに、認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の
  総合的な提供の推進に関する法律第7条第1項に規定する認定こども園を
  いう。)の設置の促進、処遇の改善等による保育士の確保、必要な財政上
  の支援等の措置を講ずることにより、待機児童に関する問題を解消するた
  めの即効性のある施策を推進。

2.1歳未満の子どもに保護者が寄り添う育児を促進するため、育児休業等の
  取得の促進、1歳以上の子どもの保育所への円滑な入所等を確保。

【八】社会保障制度改革国民会議

1.二の基本理念にのっとり、かつ、四から七までに定める基本方針に基づき
  社会保障制度改革を行うために必要な事項を審議するため、内閣に、社会
  保障制度改革国民会議(以下「国民会議」という。)を設置。

2.国民会議は、委員20人以内で組織し、委員は、優れた識見を有する者の
  うちから、内閣総理大臣が任命。

【九】その他

1.施行期日

この法律は、公布の日から施行。

2.生活保護制度の見直し
政府は、生活保護制度に関し、次に掲げる措置その他必要な見直しを実施。

(1)不正な手段により保護を受けた者等への厳格な対処、生活扶助、医療扶
   助等の給付水準の適正化、保護を受けている世帯に属する者の就労の促
   進その他の必要な見直しを早急に実施。

(2)保護を受けている世帯に属する子どもが成人になった後に再び保護を受
   けることを余儀なくされることを防止するための支援の拡充を図るとと
   もに、生活保護制度を就労が困難な者に関する制度と就労が困難でない
   者に関する制度においては、正当な理由なく就労しない場合に給付を減
   額し又は停止する仕組みの導入等を検討。

2012年6月15日金曜日

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年6月14日(木)15:00~15:25 於:党本部平河クラブ会見場

【冒頭発言】
税と社会保障の一体改革について、我々の基本方針は、6月15日までに結論を得て、会期末6月21日までに採決をすること。それから社会保障の協議を先行して行い、その合意を得た上で税での合意を探ると。そして、あくまで全体のパッケージとしての合意であって、税だけの合意、あるいは一部のパーツのみでの合意は最終段階でも、途中のプロセスでもないということを申し上げておきたいと思います。それから社会保障での合意の前提は、我々の社会保障制度改革基本法、これを基本的に受け入れていただくことであり、ボールは政権与党にあると認識しております。我々は覚悟を持って本件にあたっておりまして、野田総理におかれましても、相応の覚悟をも持って、決断から逃げぬよう対応していただきたいと考えております。
次に、青年部・青年局が企画しておりますが、明後日16日(土)「北朝鮮による拉致問題」をテーマに、第2回青年部・青年局一斉街頭を実施いたします。私も14時より東京スカイツリー駅前で行われる街頭演説に参加する予定であります。ちなみに申し上げますと、「業平橋」という名前も懐かしい名前だったと思っております。皆様にお越しいただきますよう、お願い申し上げます。


【質疑応答】
Q:修正協議について、現在の総裁の見通しと、15日までに合意が整わなかった場合の対応についてお聞かせいただきたい。
A:今、鋭意協議中でありますので、予談をもって申し上げることは差し控えたいと思います。15日までに成案を得ることが大事でありまして、そのために全力を挙げたいと思っております。

Q:昨日、民主党側から自民党の基本法に対する修正案というものが出てきた。この中身は、自民党の法案の中にあった「現行制度を基本とする」とか、「自助を基本とする」という所が削られていたが、この民主党側の修正案についてどのように受け止めたか。
A:基本的に我々の要請に応えるものではないと思っております。

Q:全面的に書き換えないと受け入れられるものではないということか。
A:基本的に我々の要請に応えるものではない、こういう認識でおります。

Q:基本的に自民党の要請に応えうる内容にするには、どのような点がポイントか。
A:我々の基本法案を、基本的に受け入れるということであります。

Q:自民党側から譲歩できる余地はあるか。具体的にはあるとすればどのような点か。
A:こういう局面において譲歩する、しないとなれば、基本的には与党側が譲歩するものだと思っております。

Q:政権内には、自民党がハードルを上げて来ているという受け止めがある。野田政権にとっては、ハードルが上がることでかえって野田さんの政権基盤を弱体化させてしまい、元も子もなくなるのではないかという声もあるが。
A:今のご質問は私には全く理解できないご質問であります。私はハードルを上げたことは一回もございません。当初から、基本方針はこうであるということを明言してまいりました。十分に政府の方々のお耳にも入っているはずですから、「ハードルを上げた」という表現は理解できない、このことを申し上げておきたいと思います。

Q:15日までの合意というのは、実務者間の合意なのか。それとも民主党の党内手続きも経た上での合意なのか。
A:本来は、政党間で合意をするということがどういうことであるかをよくお考えいただければ、おのずと答えは明らかであります。

Q:野田総理との党首会談によって事態の決着を図るという考えはあるか。
A:横綱同士がいきなり裸でぶつかり合うということではないと思いますね。まずその前の手続きをきちっと詰める、それを見守りたいと思います。

Q:最終局面では会談はあり得るか。
A:あり得ると言えば得るでしょう。あり得ないとは申し上げません。あり得るけどあり得ない、あり得ないから言わないが、というのが付いております。

Q:修正協議の中で後期高齢者医療制度と最低保障年金がポイントになってきているが、民主党側が出してきた修正案を国民会議にかけて棚上げ・先送りすることで、旗を降ろさなくても飲めるという形で打ち返してきているが、こういう形の決着で良いのか。それとも、撤回を求めて行くのか。
A:その辺は、基本法案を基本的に受け入れることが、いかなることかということです。

Q:15日まで時間がないが、民主党側から会期延長の話も出ているが、合意がないまま延長に踏み切ることについては、総裁はいかがお考えか。
A:まだ延長の話まで考えていません。まだ合意を得られるか、得られないかということを考えておりまして、延長の話はまだ考えておりません。

Q:総裁からご覧になって、野田総理の覚悟、本気度をどのように見ているか。
A:繰り返し申し上げておりますが、覚悟、本気度、どのくらい意欲があるかということと、それができるということは必ずしもイコールではないので、イコールでないとなかなか進まないということです。

Q:進めるためにはどういうことが必要だと思いますか。
A:それは与党がお考えになることだと思います。

Q:丹羽駐中国大使の更迭について、総裁ご自身はこの件についてどのような立場か。理由とともにお聞かせいただきたい。
A:わが党の中では、丹羽大使の言動について強い批判がございます。この批判に対して内閣としてどのように対応するか、注目しております。

Q:最近の自民党はスパイ疑惑、丹羽大使の発言を過剰に取り上げているように思いますが、日中関係を政争の具にしようとも見えるが、これは総裁の指示なのか、あるいは自民党党内の一部の議員の発言なのか。
A:私どもは、日中関係は極めて大事だと思っております。極めて大事だということと、問題があることを少しも取り上げないということは、別のことでございます。問題点は的確に指摘していく、協議していくということを、お互い乗り越えて行くべきだと思います。

Q:15日までの合意がなければ、野党総裁として内閣不信任案の提出も視野に入ってくるのか。
A:今の段階はこの協議が成立できるかどうか、合意できるかどうかに全力を挙げております。一般論として申し上げれば、不信任案をいつ、どういう風に使うかを考えるのが私の仕事でもありますから、頭の中に全くないとは申しませんが、いまはとにかく、成案をいかにして得られるのか得られないのか、これに全力を挙げている次第でございます。

Q:民主党内の状況だが、野田総理が自民党案を修正して共同提出できるように努力してほしいという指示をしたとする一方で、別の幹部はそんな指示は聞いていないという。本来総理の指示は重たいものだと思うが、それが聞いた、聞いていないというレベルになると深刻だが、そうした局面で、最後に野田総理に伝えるとしたらどのようなメッセージか。
A:御指摘の点が、物事が決まらない、動いていない政治の基本的な原因だと思っております。したがって、野党も物事が決まり、動いていく政治というものを作って行く努力をしなければなりませんが、主原因がそこにあるわけですから、野田総理には決然とした決断と行動を求めたいと思います。

Q:現在修正協議が行われていて、成案を得たならば法案に賛成となるのか。それとも、併せて解散の確約がなければ賛成できないのか。
A:今、どういう合意ができるか。現場もぎりぎりの努力をしていますので、それを見守りたいと思います。解散は、先程不信任案をいかに使うかということが野党総裁の仕事だと申しましたが、いかに解散に追い込んで行くかということも私の仕事でございます。

Q:総裁はこれまで、政策的けじめと同時に政治的けじめが必要だとおっしゃってきたが、それに変わりはないか。
A:それに付け加えますと、政策的けじめと政治的けじめは表裏一体であり、コインの裏表であると。引き続きそう思っております。

Q:それは今回自民党の法案を飲むということは、マニフェストの旗を降ろすことになると。つまり解散につながるということか。
A:今、主要な頭はそこにあるというよりも、いかにして協議を進めるかということにあるわけであります。

Q:現時点で党首会談の申し入れは来ているのか。それと、明日までに合意、結論に至らなかった場合、それ以降は協議に応じない、協議を打ち切るという立場で良いということか。
A:一番目は何も来ておりません。二番目はおっしゃる通りです。

Q:尖閣について、東京都の尖閣の募金運動について総裁はどのようにお考えか。また総裁が将来日本のリーダーになった場合、この問題をどう処理すべきとお考えか。
A:私の基本的な考えは、尖閣は日本が実効支配しており、歴史的にも伝統的にも日本固有の領土であると。ここに領土問題は存在しない、これが私の基本的な考えでありますから、私が政権をとった時にも、その基本的考えに基づいてやっていくということです。勿論、大前提として中国との友好関係というものは、推し進めなくてはならないと思っています。

Q:都の募金運動についてはどうお考えか。
A:そういう都の募金運動を支援する方達がいることは事実でしょうね。

Q:総裁ご自身は。
A:私は都がお買いになるよりも、本来国有の方が良いのかなと。一部はもう国有になっているかとも思いますが、そこは色々なご議論があると思います。

Q:解散となると公明党との関係が重要になってくるが、公明党とは消費税法案賛成・反対で大変悩ましい立場にあるわけですけれども、仮に賛否が自民と公明で分かれたとしても、次の選挙で自民と公明は引き続き協力関係を維持できるとお考えか。
A:これは夫婦関係に例えたら公明党さんは怒るかもしれませんが、夫婦関係といえども双方の努力が必要ですね。友党関係も同じだと思っております。その友党関係を努力して維持していくということではないでしょうか。

Q:現在、修正協議は自・公・民という三党で進めているわけだが、その他の小政党から密室談合ではないかという批判が出ているが。
A:これは密室談合とおっしゃいますが、国会の税と社会保障の特別委員会においては、90時間、100時間の審議が必要だと言って、現在までにすでにかなりのところまで来ているわけですね。それだけオープンに議論して、後をどうするかという問題ですから、決して密室談合ではないと思います。むしろこれを前提として、100時間とか90時間という実績がなくて、議論を始める前からお互いに話して「これでいこう」ということであったら、そういうそしりがあるのかもしれませんが、私はそういうそしりは当たらないのではないかと思っております。

Q:総裁は今日の会見の中で、合意の前提は社会保障の基本法を基本的に受け入れてもらうことだと。そういう意味では、民主党の回答は我々の要求に応えるものではないと。ではどの様な点を具体的に受け入れるべきだとお考えか。
A:それは今、実務者で協議していただいているところでありますから、あまり後ろに居て、勝手なことを言うのは差し控えたいと思います。まずは現場の努力を見守りたいと思っております。

Q:基本的な理念や考えといったものでもかまわないのだが。
A:基本的な考えは基本法でありますから、読んで字のごとしであります。

Q:自民党の部会が、国の出先機関の移譲について「反対」の決議をしたが、全国知事会は賛成、市町村会は慎重・反対、そうした中での総裁のお考えをお聞かせいただきたい。
A:この、出先機関を地方に移譲せよという話は前からございます。ただ、今進められていますのは、何というか統一的な基準がなく、希望する所からとか、あるいは広域連合で受ける所はとか、そういう形で進んで行きますと、本当にそういう国としての制度、国と地方としての制度の立て方で良いのか。私はその点を非常に疑問に思っております。何か特区のような考え方でやっておられるような感じも致しますが、やはりこのことは、国と地方の基本的な骨組みに関することでありますから、そこはもう少し基本的な設計をすべきではないかというのが、私の基本的な見方でございます。

Q:基本法を基本的に受け入れてもらうことが大前提とのことだが、会期を延長して、基本法を受け入れてもらう環境が整うということも可能性としてはあるが、なぜ15日に協議を打ち切る必要があるのか。
A:ご質問の中にもございますが、そもそも民主党が総理大臣の指示を受けて、一体として前に進んで来られるかどうかということは、我々は非常に不安を持っているわけであります。下手をするとですね、そういう分裂の中で、にっちもさっちも進まないという状況の中で、純然と協議を進めるということが使われるのではないかと、そういう恐れを私どもは抱いております。従いまして、協議に入る時から、これは日限を区切ってやるということを基本方針としてまいりました。

Q:民主党のマニフェストについて、総裁はかねてから民主党のマニフェストはデマゴーグだとして、その正当性を一貫して否定してきた。しかしこの修正協議の中では、民主党のマニフェスト撤回という言葉があまり聞かれないように思うが、こだわりは今どのような状況か。
A:デマゴーグという言葉が良いかどうか分かりませんが、これは流れとしては一体のことですね。つまり政権交代可能なシステムを作り、そしてそのためには小選挙区が必要だと言い、その時小選挙区で政権交代をしていくには、それぞれがマニフェストをはっきり掲げてというのが、どなたがお考えになったのかは分かりませんけれども、一つの絵でございました。しかし今日それがあまり上手く行っていないなというのが、多くの方がお感じになっておられることだと思います。そうしますと、選挙制度もございますね。色々なことがございますが、やはりマニフェストのあり方、決まらない政治ということが言われておりますが、党というものは綱領を持たなくて良いのかと。そういう個々の政策というよりも、もっと根源的な政治というものに思いを致さなくてはならないのではないか、という思いを強く持っております。そういう議論があまりに未熟で、頭の中で描いた机の上の政治議論をやり、そしてそのマニフェストというのも、現場を見ない机の上の議論で成り立っていたのではないかという、強い疑問と大きな懸念を持っております。従いまして、マニフェストというものを、マニフェストと言うことが良いのかどうかという議論もございますが、政権交代の大きなバネとなったマニフェストをどう乗り越えていくかというのは、我々野党の課題でもありますが、与党にとっては最大の課題であるという思いは、時に言葉で激しく言うこともあり、言葉の上では激しく申し上げないこともありますが、気持ちの上では沸々と煮えたぎるものがあるということは、私は申し上げておかなければならないと思っております。

Q:マニフェストの主要政策撤回を求め続けて行くという考えはあるか。
A:それは、今私が申し上げた大きな政治の中の大議論と、今具体的にこの協議をどうしていくかという両方がございますから、まずは大議論の方を申し上げたと、こういうことでございます。

Q:解散について、総裁は常々、「私に言わせれば、けじめというのは解散である」とおっしゃってきたが、今日は、解散ということよりも、今はいかにして協議を進めるかということが大事だとのことだった。これは解散を求めてきたこれまでの路線を転換するということか。
A:いや転換はしておりませんが、その時その時、望遠レンズを使うか接写レンズを使うか、今は接写レンズの方を使っているということであります。

Q:総理は、消費税法案不成立の場合には解散に踏み切るとの国会答弁をしたが、自民党内では、総理が解散に踏み切るには、この法案が成立しない方が良いのではないかという声もあるが、こういった考えについて総裁はどうお考えか。
A:解散権は野田総理が持っておられるわけですから、野田総理がどうご判断されるかです。なので、あまり揣摩憶測をするということは避けておこうと思います。