2012年6月1日金曜日

総合エネルギー政策特命委員会とりまとめ

総合エネルギー政策特命委員会は5月29日、今後のエネルギー政策についての考え方を発表しました。これは今年2月に発表した「中間報告」をベースに取りまとめたものです。原子力政策については政府から独立した「規制委員会」が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、純粋かつ高度な技術的判断が行うこととしています。同時に再生可能エネルギーの徹底導入などによって、早急に原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指すことにしています。


【総合エネルギー政策特命委員会とりまとめ】


総合エネルギー政策特命委員会では、わが国のエネルギ―政策の在り方について36回にわたる議論を続けてきた。過日とりまとめた「中間報告」をベースとしつつ、わが党としての基本方針、再稼働を含む当面のエネルギー政策および中長期的エネルギー政策について、以下の通りまとめた。


【1】基本方針

原子力発電について、新規立地は当分の間国民の理解を得難く、現存原発もやがては耐用年数を迎えるということを現実として受け止め、今後のエネルギー政策は以下の基本方針で臨む。

(ア)安全第一主義の徹底
今後のエネルギー政策の根本に「安全第一主義」(テロ対策を含む)を据え、特に原子力政策に関しては、権限、人事、予算面で独立した規制委員会による判断をいかなる事情よりも優先する。
また規制委員会が政治家の介入や経済政策の影響を受けずに、専門家による純粋かつ高度な技術的判断が行える環境を確保する。

(イ)全てのエネルギーの可能性の徹底的掘り起こし
再生可能エネルギーの徹底導入、メタンハイドレート等の新たな資源の開発、省エネルギーの徹底推進等あらゆる方策により、早期に原子力に依存しなくても良い経済・社会構造の確立を目指す。

(ウ)現在および後世の国民生活に責任の持てるエネルギー戦略の確立
いかなる事態・状況においても社会・経済活動を維持するための電力が不足することのないよう、多少の時間は要しても将来の技術動向等を見極めた責任ある戦略を立案する。
また廃棄物問題や核燃料サイクル問題等で後世に負担を残さないようにするとともに、他国における原子力災害の予防策を含め、原子力関連の技術、人材の水準は引き続き維持・向上を図る。


【2】当面のエネルギー政策

(ア)再稼働の考え方
現在の政府の再稼働の進め方はあまりに稚拙であり、安全よりも需給対策を優先させたという点で大きな問題がある。また、度重なる方針変更や専門的見識に欠ける閣僚が再稼働判断を行ったことで、政府の原子力政策に対する国民の信頼をさらに大きく損なうこととなった。
わが党は安全第一主義を徹底し、今後は、原発の安全性に関しては専門家を中心とする規制委員会の判断に委ねる。具体的にはテロ対策を含む安全確保に関して、政治介入のない環境下で専門家の英知を結集した検証を実施してもらい、安全と判断されたものについて再稼働を行う。

(イ)当面必要なエネルギーの確保
規制委員会により安全でないと判断された原発分は当面以下の方途で対応する。
再生可能エネルギ―の徹底的導入
省エネルギーの徹底的推進
環境負荷の少ないLNG火力発電所の立地推進
産出国との交渉方法見直し等による化石燃料の調達コスト低減
国策として新たなガス田等の開発への積極的参画
既に実用化されているシェールガス等の新エネルギーを外交交渉等により確保
電力会社間の電力融通


【3】中長期的エネルギー政策

将来の国民生活に責任の持てるエネルギー戦略の確立に向け、判断の先送りは避けつつ、遅くとも10年以内には将来にわたって持続可能な「電源構成のベストミックス」を確立する。その判断に当たっては、規制委員会が安全だと判断する新たな技術的対応が可能か否かを見極めることを基本に、以下のポイントも判断基準とする。
再生可能エネルギーの量、質とコスト
省エネルギー社会の進展度合い
火力発電の環境負荷の低減度合い
化石燃料資源調達コストの低減度合い
シェールガス、メタンハイドレート等新たな資源の可能性
核燃料サイクル、安全な廃棄物処理に関する技術動向
規制委員会による新たな原発技術の動向判断
安全保障上の観点及び国際的核管理政策の動向
将来の電力供給体制のあり方
原発立地自治体(都道府県及び市町村)への配慮
規制緩和や競争促進による電力料金低減