2012年7月20日金曜日

「コンクリートから人へ」の人災

 谷垣禎一総裁が九州地方豪雨被害状況を視察(熊本・大分)

九州地方を襲った記録的豪雨による被害が各地で拡大しています。
わが党は7月6日、「平成24年九州地方豪雨災害対策本部」を設置し、政府に激甚災害の早期指定などを求めましたが、被害の甚大さを踏まえ13日、谷垣禎一総裁を本部長とする「平成24年九州地方集中豪雨災害対策本部」に改組。
谷垣総裁は16日、熊本県と大分県を訪れ、被害状況の把握に努めるとともに、関係自治体から要望を受けました。
視察には望月義夫国土交通部会長と谷公一同本部事務局長も同行しました。一行はまず、土砂崩れで民家が崩壊し、犠牲者を出した熊本県南阿蘇村立野地区と阿蘇市一の宮町坂梨地区を訪問。犠牲者に黙とうを捧げた後、県の担当者から被害状況の説明を受けました。
続いて約30人が避難生活をおくる「一の宮保健センター」に足を運びました。谷垣総裁は「いま大変苦しいと思うが、みなさんが一日も早く元の生活に戻れるよう、全力でやらせていただく」と述べ、避難者を励ましました。
また、同市役所で行われた同市と周辺3町3村の関係者との意見交換会では、住民の足であるJRや国道の早期復旧を求める意見が出されたほか、ホテルの予約のキャンセルが相次ぐなどの被害状況が報告されました。
このあと一行は大分県竹田市へ移動。同市役所で首藤勝次市長から被害状況の説明を受けました。
同市では市内を流れる玉来川が氾濫し、鉄橋が流されるなど甚大な被害を受けており、首藤市長は「玉来ダムの事業が2年間ストップした。ダムが完成していればという気持ちだ」と訴えました。実際、2年前に稲葉ダムが完成した稲葉川流域では玉来川とは対照的に今回の集中豪雨での大きな被害が抑えられています。
一行は流木や土砂などで埋め尽くされた玉来川沿いを歩きながら、復旧に追われる市民の激励にあたりましたが、市民からも「これは人災だ」と玉来ダムの完成を求める声が相次ぎました。
視察を終えた谷垣総裁は記者団に対し、「民主党は『コンクリートから人へ』と言うが、町の安全に関わるものはきちんとやらなければいけない。大きな教訓だ」と述べ、野田政権の防災対策を批判するとともに、直ちに激甚災害に指定すべきだとの見解を示しました。
また、今回を視察を受けて20日、政府に迅速に対応するよう申し入れを行いました。


■九州地方集中豪雨災害に対する政府への申し入れ■


先の九州地方の豪雨災害に対して、わが党は7月11日、「九州地方豪雨災害に対する政府への申し入れ」を行い、迅速な対応を強く要請したところである。
しかし、豪雨は再び激しさを増して記録的な大雨となり、わが党としての対応組織を「九州地方集中豪雨災害対策本部(本部長・谷垣禎一総裁)」として強化し、16日、谷垣禎一総裁を団長とした視察団を編成して、現地調査を行い、被災自治体の関係者や被災者より切実な要望を聴取した。
政府におかれては、これを踏まえた次の諸項目について、真摯に受け止め、命と暮らしを守るための迅速かつ万全の対応を取られるよう強く要請する。

1.ゲリラ的な集中豪雨がいつ襲ってくるか予測できない昨今の気象状況である
    ことから、再びの集中豪雨に耐えられるよう応急の河川、地滑り、山崩れ・
    がけ崩れ対策工事などを急ぐこと。

2.速やかに「激甚災害指定」を行うとともに、河川改良工事などについて、
  激甚災害対策特別緊急事業として位置付け、期間、事業費などを早急に樹立
  すること。

3.九州各地の山地などにおいては相当な被害が生じていると見られているが、
  現場調査が難航していることから、人的支援も含め、被害の全容把握を急ぐ
  こと。

4.集中豪雨による被害の実態を十分踏まえ、「被災者生活再建支援法」の速や
  かで柔軟な運用を図るとともに、住まいの確保に万全を期すこと。

5.農業・畜産業・林業・水産業、商工業、観光業などの復旧に向けた十分な
  支援策を講じるとともに、風評被害対策にも万全を期すこと。

6.公共土木施設、農林水産施設、公共施設、水道施設などの復旧に加えて、
  災害廃棄物処理などの経費が自治体財政に負担を生じないよう、交付税の
  前倒し交付を含め十分な支援措置を講じること。

7.今回の災害現場を見るに、治水ダムの遅延が被害を大きくしたことがうか
  がえる。今回の苦い教訓を十分踏まえ、全国の災害危険区域への思い切った
  治水、砂防、治山施設の整備に取り組むこと。

8.「平成24年7月九州北部豪雨」を踏まえ、早急に河川などの整備水準の
  見直しを図ること。

9.国道57号線などを始めとした基幹道路や、JR豊肥本線などを始めとした
  交通インフラの早期復旧に全力を尽くすこと。

平成24年7月20日
自由民主党平成24年九州地方集中豪雨災害対策本部